塩ビ(PVC)パイプの薄肉加工は、金属とは寸法の出方がまったく異なります。今回は、内径Φ105・厚み4.5tという薄肉のポリ塩化ビニル管(廃炉案件)で、翌日に径が広がり不均等に歪むというPVC特有の挙動に対し、専用の押さえ治具を製作し、歪みを修正して狙いの内径で納品した事例をご紹介します。
加工事例の概要(PVC薄肉パイプ/廃炉案件)
| 材質 |
PVC(ポリ塩化ビニル/塩化ビニル樹脂) |
| サイズ |
内径 Φ105 × 外径 Φ114 × 長さ 563L(厚み 4.5t・薄肉) |
| 用途 |
廃炉案件の部材 |
| 加工内容 |
歪み修正/薄肉パイプ用の押さえ治具の製作・固定 |
塩ビ(PVC)パイプの切削加工が難しい理由
金属パイプは、加工後の翌日にかけて全体が比較的均等に径が縮まる傾向があります。ところが塩化ビニル樹脂(PVC)の場合はその逆で、翌日に径が広がり、しかも不均等に歪みが生じる傾向があります。合成樹脂は金属に比べて柔らかく熱にも敏感なため、樹脂加工では素材ごとの挙動を見込んだ寸法づくりが欠かせません。
とくに今回は内径Φ105・厚み4.5tという薄肉パイプ。肉厚が薄いほど、この経時での変形が寸法精度に直結します。当社ではPVCのこの性質を前提に、発生した歪みを修正し、狙いの内径で仕上げて納品しました。
ポイント:径を潰さない「押さえ治具」を自社製作
薄肉のPVCパイプで最も気を使ったのが、加工時の固定方法です。
通常の3本チャックでは、掴んだ力でパイプの径そのものが潰れてしまいます。そこで外周を締め付けるのではなく、上から押さえて保持する専用治具を製作。薄肉でも変形させずに固定し、精度を確保しました。
「材料に合わせて、固定方法(治具)から作る」——これは金属・樹脂を問わず、薄肉・異形の精密切削加工で当社が大切にしている考え方です。
加工の様子(動画)
対応できる材質・加工
白瀬鋼管では、精密鋼管やホーニング加工に加え、PVC(塩ビ)などの樹脂・プラスチックの切削加工、薄肉・異形材の加工、治具製作を伴う難易度の高い案件まで対応しています。旋盤加工・マシニング加工・冷間引抜など、材料と形状に合わせた工程をワンストップでご提案します。
よくある質問
Q. 塩ビ(PVC)パイプは加工で歪みますか?
A. PVCは加工後の翌日に径が広がり、不均等に歪む傾向があります。当社はこの挙動を見込んだ寸法設定と歪み修正で、狙いの寸法に仕上げます。
Q. 薄肉パイプは掴むと潰れませんか?
A. 通常の3本チャックでは潰れる場合があります。今回のように上から押さえる専用治具を製作し、変形させずに固定します。
Q. 樹脂切削加工の難しさは何ですか?
A. 樹脂は金属より柔らかく熱に敏感で、切削時・切削後に寸法が動きやすい点です。素材ごとの性質を踏まえた治具と加工条件が仕上がりを左右します。
Q. 図面がなくても依頼できますか?
A. 可能です。材質・寸法(内径/外径/長さ)・ご用途をお伝えいただければ、お見積りいたします。図面やスケッチ、現物写真があるとスムーズです。
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